まるで一瞬にしてフランスにトリップしたような錯覚に陥る圧倒的世界観。これがこのお宅の大きな魅力です。
玄関に入ってすぐに天井から釣り下がる大きな釣鐘型のライトには誰もが目を剝くはず。廊下にはこれまた大きな、美しいが憂いを帯びて水面にたゆたう花の写真パネルが抜群の存在感を放っています。その廊下を抜けた先の、日本の住宅ではあまりお目にかかることのない、意匠性のある美しいドアを開けると、広がるのはパリのアパルトマンそのものの空間でした。
パリに30年以上暮らし、写真家として活動されているI様が日本に戻ってきたのは、ご高齢になったお母様のお世話をするためでした。ただ、人生の半分以上を外国で過ごしてきたI様にとって、日本に帰るという選択は大きな決断だったといいます。
「私にしてみたらもう日本の方が外国みたいになっているんです。だから日本で暮らすということには怖さがありました」
帰ってきた日本はすでに故郷を感じられる場所ではなく、パリの美しい街並みに比べて味気無さを感じたのだそう。家に関しても、フランスの家はどれも石できちんと造られている歴史のある建物なのに比べ、日本の家は全部が安っぽくてどれもフェイクに感じられたといいます。そのようななかで見つけたのが、現在お住まいのマンションです。「築年数は60年ですけど、丁寧に造られているのが伝わってきて、すごく心地がよかったんです。このマンションは本物だと思いました」
「それに、これは住み始めてわかったことだけど、ここは東京の真ん中なのにこの辺りに住んている人って気取ったプライドがなくて真っ直ぐでいいの。そういう下町っぽいところはパリとすごく似ていると思います」
ひさしぶりの日本、そして知らない土地で暮らすことになったI様は、家の中だけはパリで住んでいたときと同じようにしたいとお考えでした。そんなときに朝日住宅リフォームのホームページでI様と同じように長く海外生活をされていた方の事例を見て、とても共感をし「この担当者に頼めばよくわかってくれる」と思ったのだそう。
フランスのご自宅を東京で実現させるために、室内を一度スケルトンにし空間を一からつくり上げていくことに。日本特有の低い天井は直天井にすることで天井を上げて開放感を出しました。また壁や床も、日本では一般的な壁紙や合板フローリングは使わず、オークの無垢フローリングやレンガやタイル、ペンキを採用しています。時にはI様自らドアにペンキを塗り、床にはワックスを掛けて空間を造り込んでいきました。
お手持ちの家具などをパリから空輸したり、日本で販売されているフランスの建具を取り寄せたりすることもパリのお住まいを再現することに大きな役割を果たしました。
「ドアは今回のリフォームでのキーポイントでした。ドアがパリと同じだとなんとなく落ち着くというか、パリの風情を思い起こさせてほっとするの」
パリの住宅で一般的に使われているドア、屋内からテラスへ出るための両開きのドア、コンシェルジュがいるお部屋で使われていたガラスが開閉できるドア…I様のお家に並ぶドアはどれもパリを感じさせる個性豊かな扉ばかり。ドアをはじめパリの住まいの良さは、どれも「人の手仕事が感じられるところ」だとI様は話します。
I様が一番頭を悩ませたと話すのがバスルーム。I様のお宅のバスルームは海外でおなじみの、バスタブと洗面がまとまっている空間です。真っ白なタイル張りの無垢さと床のレンガの渋さが共存しており、新しいのにまるで昔から使われてきたお部屋のようなノスタルジックな趣があります。
「お風呂が狭くて居心地が悪いのは耐えられないので、バスルームのスペースを確保することと大きなバスタブを入れることにこだわりました。最初はもう少し狭い予定だったんですけど、隣のトイレの壁をずらしてもらい、なんとか空間を引き延ばしてもらいました」
「ずいぶん無理を言いましたが、おかげでパリで暮らしていた時と同じような住まいができあがりました。写真を送ったパリの友達からも「よく日本でそんなにパリを再現できたね」と言われました」
家は毎日住む場所だから、「居心地がいいな」「見ていて気持ちいいな」と思えることが何よりも大切だというI様。その居心地の良さや空間の再現性から、住み始めてすぐにお家に慣れることができたため、心配していたほどホームシックには掛からなかったご様子。
「招いた人も「落ち着く」「居心地がいい」って言ってくれます。みんなゆったりできるのか、いつもよりもリラックスしていろいろなことを話すんです。深いところで話ができるので、より人間関係が深まりますね。場所ってすごく大事だなって思います。素敵な場所、宝物をつくってもらいました」
日本より海外での生活が長いI様は、感性と知識と才能をお持ちの方でした。最近は見た目よりも機能性を優先する人が多いなかで、I様は徹底的に美しさにこだわる方。私が以前担当した施工事例で、機能よりも質感とイメージを大切にされた方の事例をご覧になり、「藤井さんなら大丈夫だ」とおっしゃっていただき、ファイトが湧きました。
打合せの段階から私の常識を覆すご要望のオンパレードで、普段のリフォーム工事ではやるような内容ではないことばかりでしたが、I様のご協力や職人さんたちの知識や腕でこのようなお部屋が実現しました。
本当に居心地のいい部屋で、私の方こそ宝物と思える事例となりました。本当にいいご縁ができて、ありがたく思っています。
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物件探しからリフォームまでを朝日住宅リフォームで行なったI様は、「朝日住宅はプロが揃っている会社」だと話します。「物件の担当の中村さんはとても詳しく、こちらが質問をしてもすぐにきちんとした答えを返してくれて、信頼できる方だと思いました。リフォームを担当してくれた藤井さんも専門性があって最後まで責任を持てる人だという印象です。最近少なくなってきた“本物”の人がやっている会社だなと思います」
「あとね」とI様は言葉を続けます。「藤井さんってヨーロッパ受けすると思いますよ。仕事や人との関わり方がすごくフランス的。人間的で融通が利くし、何かあったらすぐに来てくれるとか、そういうところがすごくいいなと思いました。ヨーロッパ人や向こうで長く暮らしていた人相手に仕事をすればいいんじゃないかしら」